武者修行
武者修行を終えた荒牧選手にインタビュー
 ブラジル・パラナ州を拠点とするCascavel(カスカヴェウ)は、ペスカドーラ町田の甲斐選手をはじめ、先月のフットサルW杯に出場した前田、稲葉、北原選手など日本のトッププレーヤーのかつての武者修行先として馴染みが深いチームだ。
 そんなカスカヴェウで リーガ天竜を通じて今年の5月から10月までの約半年間、武者修行に励み、チームの一員として受け入れられた荒牧太郎選手(東京出身・23歳)に帰国後、さっそくインタビューを敢行した。

■ ブラジル武者修行のきっかけや決心した理由


荒牧選手

 将来的には海外でプロとしてプレーするつもりなので、それに向けて日本で活躍してから初めて海外に出るというのではなくて、若い内に世界基準のフットサルを身体で感じておくことが必要だと思ったからです。
 また日本で漠然と練習するだけではなくて、世界のトップの国との差を常に意識しながら練習した方が、効果的だと思ったからです。

■ カスカヴェウでの武者修行

Q1.強く印象に残っていることは?
 印象に残っていることはたくさんありますが、1つあげるとしたらフットサルが国に根付いているということです。フットボールに比べれば人気も知名度も落ちますが、それでもフットサルの文化がきちんとあって、フットサルの基礎をきちんと理解している人がたくさんいるということが印象的です。
 みんな小さい頃からフットサルをやっていて、戦術や勝ち方などを身体で覚えているという感じです。ぱっと見ただけでは戦術がないように見えるかもしれませんが、フットサルの基礎がきちんと身体に沁みこんでいるので、きちんと連動してボールが回せるんだと思いました。

Q2.チームの組織や選手・スタッフ、環境等について教えてください。
 
選手の数は15人程度で、30歳前後の選手と20歳前後の選手が半々くらいでした。スタッフは監督の他にアップなどを担当するコーチがいて、マッサージをする人もいました。試合の時はホペイロ(雑務係)もかけつけますが、毎日の練習は主にその3人が来ます。
 体育館は綺麗でプレーしやすいですが、大雨が降ると雨漏りします。
 練習後すぐに体育館近くの食堂でご飯が食べられます。

Q3.滞在中にどんな大会や試合があったか、そしてその戦績は?
  パラナ州リーグが毎週土曜日にあって、9月後半頃リーグを中断して、Jogos Abertosという州ごとのオリンピックのような大会がありました。その大会ではDivision Bで優勝できましたが、中断明けのリーグ戦では、昨年決勝で戦ったUmuaramaに準々決勝で負けてしまいました。
 11月にTaça Brasil(ブラジルクラブ選手権)という大会もありますが、それはRondonというチームとの混合チームで臨む事になりました。

Q4.武者修行の成果は?
  リーグ戦には残念ながら出場できませんでしたが、幸運にもJogos Abertosには出場出来ました。練習に参加しているだけでは気付かなかったことも、試合に出場して気付くことが出来たと思います。それはとにかく結果を出さなければ誰も認めてくれないということです。ただのお客さんとしてではなく、チームの一員として認めさせるにはどうしてもゴールが必要でした。下から這い上がるにはとにかくゴールという結果が必要だと、自分自身にプレッシャーをかけてプレーをして、ゴールを決めることが出来たのは自信になりましたし、Cascavelで練習した成果だといえると思います。

■ ブラジルまでチャレンジに来る価値

 日本のフットサルを強くしたいといくら考えていても、日本のフットサルだけしか知らなければ、その良さや悪い部分に気付かないと思います。1度外に出ることによって、フットサルの面白さはもちろん、日本の良い部分や足りない部分に気付くことが出来ると思います。
 それを知れるだけでも十分価値があると思います。

■ 全般的な感想

 日本とブラジルではフットサルにおける環境が全く違います。クラブが持ってる体育館で毎日2部練習が出来るし、選手はみんなプロです。街全体がクラブを応援してくれているし、選手間の厳しい競争ももちろんあります。
 日本が世界大会で勝ち進むにはまずはその環境を整えることが必要だと思います。Fリーグが出来たおかげで徐々に動き出しそうな気配はありますが、まだまだ足りないと思います。選手が毎日の練習や試合を全力で取り組むのは大前提として、自分達の環境を少しでも良くする為に、多くの人にフットサルを知ってもらう努力を、もっともっとしていかなければならないと感じました。

■ 帰国後、ブラジルでの経験を選手としてどう生かしたいか

 ブラジルで感じた差や、世界のフットサルの基準みたいなものを、日本に帰ってからも持ち続けて、日頃の練習で常に意識しながらプレーして、Cascavelで出来た友達に追いつけ追い越せという勢いでプレーします。

■ ブラジルでの武者修行に興味を持っている人へのメッセージ

 ただブラジルに行けば上手くなるということは絶対にないと思います。
  せっかく行くからにはそれなりの覚悟が必要だと思います。最初は言葉も当然分からないし、食事も合わないと思うかもしれません。
  それでも上手くなる為には全て克服しなければならないと思います。言葉が分からなければ勉強しなければならないし、鬱陶しいと思っても、 チームメイトとのコミュニケーションは必要不可欠です。戦術も教えてもらわなければならないし、自主練習の相手にもなってもらわなければなりません。
  上手くなる為なら何だってするって覚悟が必要だと思います。こいつら全員踏み台にして自分が上にいくんだと思って、とにかく積極的に 選手や監督と話をして些細なことでも見落とさないようにしていれば、 自然とみんなと仲良くなれるし、毎日楽しくプレーできると思います。

写真提供: Taro Aramaki, Cascavel Futsal
(インタビュー:2008年11月)


 所属するチームでの二度のブラジル遠征を経て個人での武者修行を決行した荒牧選手。当初の予定期間を延長し、目的意識を持って積極的にチームに溶け込んだ彼は、周りに認めてもらうためにがむしゃらにゴールを目指した。 武者修行を終了した今、海外でプロを目指す目標にまた一歩近づいたようだ。武者修行の先人たちに追いつき、追い越せるよう、これからの活躍に注目したい。(了)

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